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銀行法人営業、仕事の内容と担当者の役割、どんな人が向いてる?


銀行の法人営業の仕事について解説します。
2013年にTBS系列で放送されたドラマ「半沢直樹」により、銀行の仕事や銀行員の人生などが描かれました。
個人的な感覚として、ドラマ「半沢直樹」は、誇張されているし頻繁におこることではないけど、単なる”作り話”では片づけられないと思っています。
当時お客さんや友達から「銀行ってあんな感じなの?」とよく質問を受けましたが、「遠からず近からず」と答えていました。

今回銀行の法人営業の仕事の内容について解説します。就職先として銀行を考えている学生の皆さんの参考になれば幸いです。
私は2001年に東海銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、2024年7月末までの23年間一貫して法人営業の世界で働いていました。
中堅中小企業から上場大企業、海外拠点での勤務を通じた経験をもとに銀行の法人営業の仕事について解説します。

1. 法人営業担当(RM)とは?

銀行では法人営業担当のことをRelationship Managerといい、略してRMと呼びます。お客さんと銀行との連絡窓口となり、担当するお客さんとの取引全てに責任をもつため、このような呼び名になっています。
お客さんの規模やRMの経験値にもよりますが、通常30~50社を一度に担当します。お客さんの業種は一概には言えませんが、支店がある土地柄によって製造業が多かったり、卸売業が多かったりします。
また、上場大企業を担当する営業本部では、複数人で一つのお客さんを担当します。主担当RMのことをCFA(Corporate Financial Adviser)といいます。「CFA」は銀行内のステータスでもあります。

2. 法人営業担当(RM)のミッション(役割)とは?

RMの仕事を一言で表すと、「お客さんの事業をサポートすることを通じて収益を上げること」です。私はRMは3つの重要なミッションを負っていると考えています。

お客さんの悩みを聞いて、その解決のお手伝いをする、または能動的にお客さんの経営課題を考えて、その解決のお手伝いをすること、が RMの第一のミッションです。
さまざまな問題解決のお手伝いをするため、銀行には様々な部署、関連会社があり、たくさんの商品やサービスを揃えています。既存の商品やサービスで解決できない時は、新しく商品開発をすることもあります。
銀行の「法人向け商品やサービス」といっても分かりにくいかもしれませんが、日頃「個人」で銀行を使う時と大きく変わりません。例えば、親御さんからの仕送りには「振込」という機能を使います。海外旅行に行くためバイト代を貯める際には「預金」をします。車を買う時にお金を借りる必要があるときは「融資」を受けます。海外留学先への送金のため米ドルを買って送る時には「外国為替+海外送金」というサービスを使います。
法人であればその金額が大きくなったり、少し幅広くなります。例えば、融資を受けて借りたお金の金利が上がらないよう固定化したい(=デリバティブ)や、誰から振り込まれたお金かすぐに特定したい(=決済)などなど。

またこういった商品やサービスはタダではなく、手数料や金利がかかります。「振込手数料」「受取利息」「支払金利」「外貨両替手数料」など。この一つ一つが銀行としての収益となります。RMの成績は自分が担当するお客さんからの収益を合計したものです。RMには収益目標が毎年設定されます。銀行や経営トップの考え方にもよりますが、目標額は前年度の収益実績額の1.1~2倍程度だと思います。経済成長率や景気動向に関わらず、常に右肩上がりの目標が設定されることが多い点は認識しておいてください。この収益目標を達成することがRMの第二のミッションです。

収益目標を達成するかどうかは、人事評価の大きな要素ですが、できなくても「バッテン」が付くわけではありません。事実、私は3年間在籍した支店で、1度しか(当時は半期ごとの評価だったので6回中1回のみ、、、)達成できませんでしたが、その後希望通りの部署に異動することができました。

また銀行員には転勤がつきものです。早い時で2年、長くても5年ぐらいで転勤し、お客さんを後任に引き継いでいくことになります。自分が担当する間にお客さんとの関係をより良いものに発展させるかが、RMの第三のミッションになります。駅伝のようにタスキを繋いでいくイメージです。

この3つのミッションを達成できるのであれば、日頃は何をやっても大丈夫です(サボって働かなくていい、ということではありません、念のため)。どこに訪問し、誰と会い、何を話すか、どんな商品を提案するか、は自由で全てRMに委ねられています。ただし、営業日誌や活動記録などで上司への報告は必要ですよ。

3. どんな人が銀行の法人営業担当(RM)に向いている?

コミュニケーション力の高い人

お客さんとのコミュニケーションがすべての出発点です。お客さんと頻繁に接点を持ち、仕事の話だけでなく、プライベートな話もします。人間は共通点があると急に距離が近くなるもんです。時事ネタ、家族、趣味などなど、話題が豊富で、話好きなほうが共通点を見つけやすいですね。
私はある取引先の会長との会話を広げるために、会長が好きなジャンルの本を読んでお貸ししたこともあります。
そういったコミュニケーションを通じて一人の人間として信頼してもらい、大事な相談をしてもらえれば立派なRMといえます。

また銀行の仕事は一人では完結できません。したがって上司や同僚の協力や理解を得るためのコミュニケーションは極めて重要です。「この人に協力したい」と思ってもらえるような存在になると仕事はうまく回っていきますね。反対に職場の人間関係がうまくいってないと仕事に行くのがつらくなってしまいます。

② 好奇心旺盛な人

お客さんの事業内容や商品・サービスに興味を持つことは極めて重要です。お客さんはその商品のプロなので、素人の銀行員は「教えてもらう」ことになります。興味がなければ「へー」で終わってしまいますが、興味があればいろんな質問が出てくると思います。自分で調べたり、できれば試しに利用してみると、よりその商品やサービスが理解できます。
こちらが興味をもって勉強していることはお客さんに伝わります。そうすると喜んでくれて、どんどん詳しい話をしてくれるようになります。ある意味マニアックな知識ですが、お客さんに認めてもらえた証拠といえます。またお客さんの歴史や、経営方針、ビジョンを理解することも大事です。
融資をする際には、稟議書の中でお客さんの事業について説明します。お客さんのことをよく理解していれば、説得力が増し、文章に熱意がこめられるものです。
ただし貸したお金が返ってこないのは困るので、「健全な猜疑心」をもって、お客さんが言うことを鵜吞みにせず、冷静に分析することも重要です。

③ 情報の整理ができる人

RMはメールを毎日50件以上受信します(私は最後のポジションで毎日150件ほど受信していました)。また銀行内には、本部から出される通達や「〇〇の手引き」「〇〇マニュアル」といった文章で溢れかえっております。油断をすると情報に溺れ、訳が分からなくなります。情報の内容をザッと理解して、重要度、緊急度、不要なものに分けて整理する必要があります。全てをきっちり理解して、記憶することは不可能ですが、「何がどこにあるか」をわかっておけば、すぐにその情報にたどり着けます。
また情報の出所や誰の発言かなどは、上司に説明したり、お客さんと話す際には重要になる局面もあります。お客さんも銀行内も、「ものごとを決める権限を持っている人」の発言は重要ですよね。私は記憶力に自信がないので、メモを取りまくっていました。

4. 結論

銀行の法人営業(RM)は非常にやりがいのある仕事です。お客さんの商売の役にたち、自分の貢献を実感できる仕事です。
お客さんは銀行やRMに期待してくれています。銀行はお客さんの経営を左右する可能性があり、責任は重大です。でも、だからこそお客さんのお役に立てる立場にあります。入行したての若手RMも、20年以上経験があるRMも同じです。

一方で、収益目標を達成することは簡単ではありません。上司のプレッシャーもそれなりにキツイです。お客さんの期待に応えるためには絶えず勉強する必要もあります。ときには期待に応えられないこともあります。したがって、日々、精神的なストレスを感じる仕事です。

それでも、私はやりがいのある仕事だと思っています。
RM個人のキャラクターや能力、熱意によって、結果に差がでる職業です。銀行の看板を背負っているといえども、お客さんとどんな信頼関係を築き、どんな話を引き出し、どんな商品を提案するか、は個人個人で異なるからです。その自由裁量も与えられています。

ぜひ銀行に入ってRMになって、お客さんの成長をサポートしてみませんか。


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