スペインの東に位置するバルセロナの魅力について解説します。
約2年半、実際に住んでみてよかったと思う点について、マドリードとの比較も含めてご説明します。
元日系銀行の駐在員、今は退職して現地でスポーツ関連の仕事をしつつ、趣味のホッケーをやっている私の完全な主観です。
観光スポットなどには触れませんので、ガイドブックや別の方のブログ等をご参照ください。
1. バルセロナの概要
カタルーニャ州の州都であるバルセロナは、スペイン第二の都市で人口は約163万人。周縁の自治体を含めると500万人の大都市圏を形成しています。
また多様性に富み、バルセロナ市内に住む外国出身者は23.6%を占めます。
① 気候
年間を通じて温暖で過ごしやすい気候です。
冬は一桁台の気温になる日もありますが、日中太陽が出ていると半袖でも暑いぐらい。
夏は20~32℃の範囲ですが、日本並みに湿度が高く(90%を超えることも!)、少し歩くと汗だくです。
本来地中海性気候なので、夏は乾燥するはずですが。。
この点マドリードの夏は40℃以上ながら、乾燥しているため汗はほとんどかきません。
(いわゆる極度乾燥の状態でタオルは干した形状のまま固まってます。。)
2024年は1~3月にかけて雨が少なく水不足でした。5~6月にかけては例年になく雨が降り、ようやく水不足が解消しましたが、ここ数年は異常気象が続いているようです。
② 時間
中央ヨーロッパ時間を採用しており、日本との時差は夏は7時間、冬は8時間です。
欧州の西端に位置するため、朝は暗く、夜は遅くまで太陽が出ていて明るいのが特徴です。
日本と比べるとだいたい2時間ぐらいずれているイメージでしょうか。したがって、最も気温が上がるのは16時ごろになります。
後述しますが、スペイン人が寛容で明るいのは、この明るい太陽のおかげだと思っています。
③ 言語
カタルーニャ語(カタラン語)を州の公用語としており、全ての公立学校で使用されます。
公共交通機関内の案内やスーパーの表示は、まずはカタルーニャ語で始まります。
スペイン語(バルセロナでは「カステジャーノ」といってください)も外国語として教えられており、もちろん通じます。
観光地では英語もOK。
年齢によっては、カタルーニャ語は話せるけど書けないという人もいます。
また親のどちらかがカタルーニャ出身でなければ、家庭内の公用語はカステジャーノというケースもあります。
私の友達は、息子さんがカステジャーノのライティングが弱いそうで嘆いていました。カタルーニャ語もカステジャーノも両方不自由なく扱えるべきだと。
2. バルセロナの良いところ
① 見た目気難しいけど温かい人柄
私の付き合いがあるバルセロナの人は元職場の同僚、ホッケー関係者、それからマンションのオーナーやポルテロ(警備員)、スーパーやレストランの人ぐらいですが、みんな温かい人たちです。
一見、気難しそうで挨拶してもニコッともしない人が多いのですが、実はとても寛容で親切です。
バスや電車内では、お年寄りや子供連れ、体が不自由な人に席を譲ることは当たり前のように行われ、車いすの人がバスを降りようとしていると、誰かがかけ寄って手助けしている光景をよく目にします。
もし道端で転んだら、みんな寄ってきて助けてくれると確信しています。
(マドリードではエレベーターに乗り合わせる時と出ていく時は必ず一言挨拶しますが、バルセロナではこちらが何か言わない限り何も言いません。)
気質は、とても明るくマジメで質素です。
「ラテンの乗りでいい加減」というイメージを持たれがちですが(私がそうでした…汗)、実は日本人によく似ています。
仕事が残っていれば残業もするし、時間もキッチリ守るので、日本人にとっては非常に働きやすいといえます。
スペインには日系企業が400社以上ありますが、実は日本人が全くいない会社が大半です。たいてい10年以上勤めている信頼できる方がいて、経営を任されています。
日本人と異なる点は、何ごとでも「楽しむ」意識が高い点です。
ホッケーの試合前には気合を入れるために円陣を組み、「絶対勝つぞ」と言いながら、最後は「でも楽しもうぜ」という言葉が続きます。
あと、特徴としては「ケチ」です。よく言えばとても「キッチリ」しています。
でもセコイ訳ではなく、奢ってくれることもあるし、かなりチップを払っているのを見たことがあります。
たとえば、ホッケーの練習では、通常最後にボールの数が揃っているかを確認しますが、彼らはメニューが変わるたびに(15分ごと!?)ボールの数を数えて、足りなければ大騒ぎしています。。
水不足で練習場でシャワーが禁止された際は、「サービスの低下だ、会費のディスカウントを請求できるはずだ」という声も上がりました。
また、みんな負担すべき共通のコストは1ユーロ単位で割り勘です。
② 自由で前向き、かつのんびりした空気感
バルセロナは世界有数の観光都市です。
大型のクルーズ船が寄港したり、〇〇博が開かれることも多く、年中季節を問わず街中には観光客であふれかえっています。
また海も近いため、どこかのんびりとした時間が流れています。
私は元銀行員ですが、スーツを着て、ネクタイを締めて働くのがアホしくなり、だんだんカジュアルになりました。
マドリードの人は革靴を履いて、バルセロナの人はスニーカーという感じです。
通り沿いのカフェのテラスでは、朝からビールを飲んでる人がたくさんいます。
季節を問わず常に青空が見えるためか、前向きになれて、いろんなことに挑戦してみようという気になれます。
事実、私は銀行を辞めて、このままバルセロナに住んで新しいことに挑戦することにしました。
私のお気に入りの場所を3つ紹介したいと思います。
1) ディアゴナル通り
バルセロナの街を斜めに突き抜ける大通りです。道幅は80m以上あり、トラムの線路、自動車道、歩道、自転車道に分かれています。
歩道や自転車道には様々な人がいます。通勤・通学、老夫婦、赤ちゃん連れ、犬の散歩、ゆっくり走る人・早く走る人、ローラーブレードの練習をする親子…みんな明るい表情で楽しんでいます。
この道を歩いていると、「自分は自分のままでいいんだ」「俺も人生楽しも」と思えてきます。
私の一番のお気に入りはバルセロナ大学の辺り。街路樹が途切れ、パッと大空が広がる場所です。
2) ビーチ
市内から車で30分も行けばビーチにたどり着きます。
バルセロナ市内だけでも約5kmのビーチがあって、北東へ行けばCosta Bravaと呼ばれる静かできれいなビーチが続き、南西に行けばシッチェスというリゾートを経てバレンシア、Costa Blancaまで続いています。
地中海は透明度が高く青い!
きれいなビーチに来るとテンション上がりますね。
ただ、地中海の塩分濃度は高く、かなりしょっぱいです。
夏の午後は蒸発が進んでさらに濃くなって、泳いでいると肌がピリピリしてきます。
3)展望スポット
バルセロナは山と海に囲まれた街で、神戸によく似ています。
山に登れば神戸と同様、海と街が一望できます。
高台からサグラダファミリアやカンプノウを探したり、ボーっと空と海を眺めるのが好きです。
山越えの道中にある展望スポットや、ティビダボ山の教会や遊園地がおすすめです。
中でも私の一番のおすすめは海寄りの山モンジュイックからの眺めで、逆に山と街が一望できます(もちろんサグラダファミリアも)。
1992年バルセロナオリンピックの高飛び込み会場は観客席がバルになっているので、ビールを飲みながら…。
夜景は神戸ですが、バルセロナは太陽が照っている時間に青い空、青い海を見るのがベターです。
③ 食事
スペインは何といっても食事がおいしいです。
特に魚介類が豊富で新鮮なのは日本人にはありがたい。
スーパーでは「のどぐろ」もお手軽な値段で買えますよ。
バルセロナではオリーブオイル、魚介類、野菜などを多く使用した地中海料理がメインです。
「パエリア」の親戚で、ショートパスタを使った「フィデウア」が有名です。
濃い魚介だしやイカ墨ベースで作られ、「アリオリソース(にんにく風味のマヨネーズ)」を絡めて食べます。
私は「フィデウア」がメニューにあると注文せずにはいられません。
長ネギを炭火で焼いた「カルソッツ」はカタルーニャ地方の冬の名物です。
炭で焦げた皮をはがし、中のトロッとした部分を食べます。
上を向いて、手で持ったネギを口の中に落とし込んでいきます。
手袋とエプロンが用意されていていますが、必ずといっていいほど服が汚れるので、きれいな恰好では行かないでください。
あと、首が疲れますが、おいしいので大満足です。
2040年までにスペインは日本を抜いて世界一の長寿国になるといわれています。
ヘルシーな「地中海料理」おかげですね。
3. まとめ
私にとってバルセロナは居心地のいい街です。
マドリードに来た時は「こんなところに住めたら幸せだな」だったのが、バルセロナでは「住みたい」に変わりました。
一番の違いは「空気感」ではないかと思います。
外国人にとっては言語の問題はあるものの、頑張って話そうとする人に優しいし、お互い下手なりに英語でもコミュニケーションをとろうとしてくれます。
食事についてはいうことはありません。
毎日スペイン料理や地中海料理が続くと胃腸は多少疲れますが、問題ないでしょう。
観光スポットではスリに注意ですが、住宅地は超安全です。
日本人駐在員の主な話題は、どうやって住み続けるか、どうやって老後に戻ってくるかでした(私はいち抜けです!)。
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